「デザイン画を描く」~人に伝わるポートフォリオVOL.6
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前回までの作業でアイディアのデータベースが整いましたので、次はデザイン画を描くプロセスです。
いきなり紙と鉛筆でデザイン画を描きはじめてはいけません。
その前に検討しなければならないことがあります。
○何を主題としてまとめるかを整理する
前回の「アイディアを磨き上げる」で、主題に沿ってアイディアを整理しましたが、
デザイン画を描くために、ここではさらに表現に必要なアイディアを絞り込んでいきます。
「アイディアを磨き上げる」でのコラージュや立体制作でアイディアは膨れ上がっているはずです。
せっかく整理したアイディアなので、すべてデザイン画で表現したい気持ちになると思います。
しかし、練り上げたアイディアを更に密度の濃いデザインとして表現するためには、
各要素を整理する必要があります。コンセプトを効果的に表現するために
「何をデザインポイントとするのか、どのアイテムで表現するか」など考えをまとめてみましょう。
○素材をイメージする
ここで主題の整理と同時に素材についても検討しましょう。
「天然素材か化合繊か、柔らかいのか固いのか、布帛なのかニットなのか」など、
表現したいデザインに合わせて素材のイメージを決めておく必要があります。
作品が思い通りのデザインに仕上がるかどうかは、
素材にかかっているといっても過言ではありません。
素材の知識とともに、素材選びはとても重要です。
また、素材にプリント加工を考えている場合も、どのような柄と色にするのかを整理しておきます。
もちろん使用したい生地があらかじめ決まっている人もいるでしょう。
その場合は生地の特性を生かしてデザインしなければなりません。
ボディに実際に使う布か、またはそれに似た風合いの布をかけて、
デザインにふさわしいシルエットやボリューム感が出せるかどうかを確かめておきます。
○表現したいデザインを描く
主題が整理できたら描きはじめましょう。
最初は白い紙を前に、鉛筆が思うように動かないかもしれませんが、次第に気持ちが集中し、鉛筆が動きはじめます。
選んだコラージュや組み立てた立体を見ながら一枚、また一枚と描き続けます。
この段階ではバリエーションを描くというよりは、
自分が表現したいデザインやスタイリングを見つけるという感覚で作業を進めます。
頭の中のイメージを具体化させるために、アイテム、フォルムやシルエット、ディテールなどの要素を
組み合わせながら確認していくわけです。
何枚かを描き続けることで、「これだ」という一枚にたどり着けることでしょう。
また、織り柄やプリント柄の生地を使う場合や、
加工で柄を施すことを考えている人は、柄を想定しながら描いていきましょう。
「どの柄にしようか、大きさはどのくらいにしようか」などを検討しながら、デザイン画に表現していきます。
○バリエーションを描く
はじめに自分が最も表現したい基本スタイルを3体ほど描き、
そこからバリエーションを展開させるのがよいでしょう。
バリエーションを考えるときのポイントは「一貫性を持たせる」ことです。
コンセプトから派生したディテール、シルエット、素材、柄、色などの要素の中から共通させる要素を決め、
デザインやスタイリングの中に盛り込みます。
実際に3体(A.B.C)からの展開を考えてみましょう。
共通させる要素を、Aはアイテム、Bはディテール、Cは柄とします。
そう決めたらAグループはアイテム以外、Bグループはディテール以外、
Cグループは柄以外の要素を変化させてデザインしていくのです。
たとえばAでアイテムの中からドレスを共通要素として選択した場合、
データベースとして整理した中から、シルエットやディテール、素材、柄、色といった
アイテム以外の要素を見つけ出して、変化をつけるわけです。
共通要素を持ったバリエーションが増えるほど、コンセプトは凝縮されて、見る人に明快に映ります。
A.B.Cそれぞれに3体のバリエーションを描けば、全部で12体のデザイン画が完成します。
コンセプトを代表する要素が各グループに盛り込まれることになるので、
全体として一貫性のあるラインナップが表現されるわけです。
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